パチンコ「30兆円の闇」―もうこれで騙されない
パチンコ「30兆円の闇」―もうこれで騙されない溝口 敦
小学館 刊
発売日 2005-09
パチンコ・パチスロをやらない(むしろ迷惑と思っている)人間にとって、ハマる人間の心理は到底理解できないものだ。なぜ、好んで他人(ホールや裏に癒着している組織など)に、みずから巨額のお金を貢ぐのだろうか。
こういった心理はさて置いて、本書では周辺を含めて年間30兆円という巨大な「産業」の構造を広く、かつ深く取材を通じて網羅している。30兆円にぶらさがる人間がどこにいて、どのように利益をむさぼっているのか。本書の巻頭にまず「警察」が挙げられていることに、著者の象徴的な姿勢が感じられる。
噂として半ば通説になっていることでも、取材を通じて裏を取り、文章として残す。その姿勢が本書の価値だろう。噂のままではなんの力も持たない。週刊ポスト連載のせいなのか、ハードボイルド調の文章の癖が出るのがときおり鼻につくが、この業界を一望できる知識がまとめて得られるルポルタージュとして一読の価値がある。ただし、冒頭に書いた「好んで貢ぐ人間の心理」は本書には描かれていない。サラ金に手を出して自己破産、家庭崩壊、駐車場での幼児の熱中病死など、珍しくもない。朝から晩まで台の前に座っている忍耐力、攻略法は熱心に研究する勉強力はあるのに、それが搾取されるだけで何も生まないことをわからない。そんな人間が多数いて、始めてこの巨大産業が成り立つ。こちらのほうが根本的な問題とも思うが、本書とは別にまた痛烈な分析を読みたいものだ。あとがきに曰く「たいていのパチンコ店の前では朝早くからいい若い者たちが開店を待ち構え、行列を作っている。彼らの時間と労力は勉学や生産に結びつかず、彼らの金銭はパチンコ産業の中で空転して、いたずらにホールや台メーカーをはじめパチンコ関連業者を潤し、中国人や暴力団の資金源になり、しかも警察の利権と化して警察をも汚染している。」まさに思い同じで、憂うべきことだろう。
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